しかし、この任天堂の時価総額を越えてしまったゲーム会社があります。それが『ガンホーオンラインエンターテイメント」です。2013年5月15日13時半時点では、1株当たり1,432,000円と昨年夏には2万円台だったことが信じられないほど高騰しています。もともとは『ラグナロクオンライン』の運営元として有名でしたが、スマートフォン向けアプリ『パズル&ドラゴンズ』の大ヒットにより一躍時価総額の巨人となりました。
個別では、ガンホー・オンライン・エンターテイメント が連日のストップ高。任天堂の時価総額を超えたことが話題となった。また、ドリコム やコロプラ 、クルーズ がストップ高するなどネットゲーム関連株が物色された一方、タカラバイオ などバイオ関連株は軟調となっている。
2013年5月15日13時半時点で、ガンホーオンラインエンターテイメントが1,649,249百万円に対して、任天堂が1,624,943百万円とわずかに上回っている状況です。任天堂はこれまで『ファミリーコンピューター』『スーパーファミコン』『Nintendo64』『GAME CUBE』『Wii』『Wii U』と据え置き型ゲーム機を開発・販売し、『GAMEBOY』『DS』『3DS』などの携帯型ゲーム機を開発・販売してきたゲームプラットフォーム会の雄でもあります。また、ソフトウェアの部分でも大変な売上を上げていて、『スーパーマリオブラザーズ』『マリオカート』『どうぶつの森』『ドンキーコング』『ポケットモンスター』などゲームの登場人物が人気キャラクターになるほどのヒットを続けて来た会社です。
そのような老舗企業の時価総額を、『パズドラ』という1つの高収益ソーシャルアプリによる株高で上回ってしまう事態になっているわけです。
株好調だからと油断は禁物
実際に『パズドラ』は、Googleの課金プラットフォームであるGoogle Playでも決済機能を増強させる要因の一つとして挙げられるほど課金がしょっちゅう行われているソーシャルアプリです。Google上級副社長のアンディ・ルービン氏はこれを「パズドラeffect」として紹介したほどでした。
月ごとの決済時、パズドラユーザーの決済でGoogleの決済インフラがほぼいっぱいになり、設備投資をして能力を増強しないと耐えられないこともあったという。ルービン氏はこれを「パズドラeffect」として紹介。日本のアプリマーケットの収益性の高さについて「とても興味深い」と話していた。
それだけ驚異的な売上を誇っている『パズドラ』ですが、今の株高の勢いは『パズドラ』の勢いをそのまま描写したようなものではないかと考えます。まだまだ売上の勢いを誇っているガンホーオンラインエンターテイメントですが、キラーコンテンツとなる『パズドラ』の凄さが全面に出ているため、反対の危うさがあまり映らなくなってしまっているのではないかと考えられます。
第二、第三のキラーコンテンツを持続的に生み出せることができれば、株価は安定してくるとは思いますが、まだその点については未知数です。これまでWiiや3DSなどのライトユーザー層を取り込み、さらにゲーム機では遊ばないけどスマートフォンは持っているユーザを取り込んだのがソーシャルゲームアプリだと考えますが、ソーシャルゲームアプリの歴史自体が短いため、今後の栄枯盛衰は未知数です。
コンシューマーゲーム市場は、縮小傾向にはあるものの長い歴史を経て形成されてきました。既にたくさんのハードウェア及びソフトウェアが販売され、世界中で人気があります。そのことを考えると、任天堂の高い時価総額はこれまで築き上げてきた実績と人気に基づいたものであって、ガンホーオンラインエンターテイメントの時価総額は『パズドラ』の大ヒット&潜在能力を見据えたものだと思われます。それゆえに『パズドラ』ブームがもしなくなった際はどうなるのか危惧してしまいます。
虚業の積み上げであったLivedoorとはまた少し異なり、周囲が盛り立てているような株高なのとアベノミクス効果もあるタイミングなので、今後どういう動きをしていくのか要注目です。