生活保護法違反で次課長・河本氏に焦点を当てても仕方がない

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一時期、自民党参議院議員の片山さつき氏がきっかけで、お笑いコンビである次長課長の河本準一氏が逮捕の危機かと騒がれていましたね。

あの件、傍から見てて「全くおかしな観点から話題作りしてんな~法律知らない記者も多いもんだ」と思って見ていました。

あっ、あと思ったことは、参議院議員はお笑い芸人の不正受給を調べるのがお仕事なのでしょうか?(苦笑)そんなのは自治体がやるべきことでしょう。国会議員がやるべきことは他にも沢山あるんだから、そんなことに時間と税金を使わないで欲しいですね。そのために議員給料を血税から捻出してるつもりはありませんよ。その辺の取り組みは橋本市長が頑張ってらっしゃるので、直接対談されたら面白そうですね。

ちなみに本記事は、河本氏を擁護するために書いた訳ではなく、物事を本質的に見るための一例として河本氏の件を取り上げていますのであしからず。

そもそも扶養義務とは何かを知ろう

と、さておき、親に収入がなく子どもに一定以上の収入がある場合は、親を扶養する義務である「扶養義務」が発生するのは事実です。しかしそれは、それは民法で言う私的扶養のことを指すのであって、生活保護法が生まれることになった公的扶養とはまた別の考えです。

日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定されており、それに基づいて生活保護法を制定されました。

翻って私的扶養については、民法730条において「直径血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければ
ならない。」
と規定しています。そのため、もともとの話題では「刑事責任を問われる可能性がある」と騒がれていましたが、私的扶養は民法で規定されており、それがなぜ刑事責任の話がタイトルに付くのか皆目検討が尽きませんでした。

民法に違反したら刑事責任を追及されるのか?

民法上の罰則の過料は金銭罰の一つですが、刑罰としての罰金・科料と区別されます。民法の罰則の場合は、民法上の義務違反の罰則ですので刑法総則の適用はありません。国や地方自治体が過料を課す形となります。

つまり、「民法上の罰則で逮捕される」ということはありません。

※私の知識不足かもしれませんので、「ある!」と主張される方は、是非判例を教えてください。

そこで、焦点を生活保護法に移したいと思います。

生活保護法では収入を得たら申告する義務がある

生活保護を申請し受給承認を得られたら、自治体から生活保護費の受給を受けるようになります。また自治体にも寄りますが、医療費も無料、公共交通は無料、NHK支払いも免除、水道費も無料など特典が色々と付いてきます。素晴らしい制度ですね。

私は自分自身が病気ながらも母親を扶養しているので、とても羨ましい限りです(笑)とは言え、セーフティネットの役割もあるので、いつ自分が恩恵を受ける立場になるか分からないので、無下に非難することはいたしません。

さて、生活保護法ではこのような規定があります。適当なものが見つからなかったので、Wikipediaからの引用で恐縮ですが、こう書かれています。

所得税の源泉徴収による申告をしない雇用主の下での現金払いによる就労や、友人の名義を借りた不正就労による賃金の受給、オークションや中古リサイクル店などへの売却金、仕送りの受け取り、世帯主ではない未成年受給者(主に高等学校在学生)のアルバイト収入、生命保険解約返戻金や事故などによる賠償金、犯罪被害者給付金、ギャンブルによる配当金、株取引や先物取引、外国為替証拠金取引など、これらは本来、生活保護法の規定によって、全て収入として福祉事務所に申告するべきものであり、通常はその収入分を減額した金額で保護費が支給される。
もっとも、申告した収入が正当な労働による収入である場合の必要経費や、事故賠償金の一部を治療費に当てるなど、生活費に用いる資産ではないことが明らかな場合は、その分を収入認定から控除することができる。ただし、その判断は福祉事務所で行うため、あらゆる収入は必ず福祉事務所に届け出なければならない。

引用元 : 生活保護の不正受給 | Wikipedia

そのため、不正に収入を経ていたのであれば、それを各自治体の福祉事務所に申告し、必要に応じて生活保護費を減額してもらう義務があります。それをしなければ、生活保護法第63条に基づいて、不正受給金額の返還命令を受けたり、悪質な場合には同78条による徴収の実施や同85条に基づく罰則規定及び刑法の詐欺罪の規定が適用されます。

河本氏の母親が受給申告していたのかどうは警察や自治体などの行政が調べればいい話なので、私は触れませんが、2011年フジテレビ放送の「サポーターズ」で、母親に仕送りしていることを認めているようです。(ネット上ではその時のスクリーンショットも出回っていますね)

ということは、河本氏の母親は収入を経ていたと考えられますね。ただ、それが生活保護費を超える金額なのか、ちょこっとなのか、そもそも申告していたのかなどは分かりません。

もしその観点で問題があれば、河本氏の母親が行政または司法による処分を受けることになりますが、河本氏が生活保護法で刑事罰を受ける訳ではありません。

焦点1 : 母親が生活保護を受けた時の収入と河本氏本人が知っていたかどうか

通常、生活保護を申請する際に、血縁関係にある者に対して、親族扶養がなぜできないのか理由を述べないといけないはずです。(これも自治体によって違うと思われるので、各自治体の方針に寄るものと考えられます。)

戸籍などから血縁関係を調査し、”親族に対する扶養援助のお願い” のような封筒を送り、答弁をお願いする訳です。1つ目のポイントは、『この時の河本氏の収入』と『返答をしたのかどうか』です。

基本的に生活保護を適用するかどうかは、各自治体の福祉課が審査をするのが通例です。つまり、審査した結果、保護した方が良いと判断したために生活保護費が受給される訳です。

もし、『この時の河本氏の収入』が貧乏芸人並であれば、扶養は不可能と判断されるでしょう。しかし、『返答をしていない』あるいは『そもそも書類が届いていない』のであれば、自治体の瑕疵であるとも考えられます。(NGな申請を審査OKとしちゃった訳ですからね)

焦点2 : 河本氏の財政状況

焦点の2つ目としては、河本氏は年収5千万あるとされていますが、それをどのように使用していたのかという点です。もし仮に、河本氏が親でも身内でも友達でも自分でも誰でもいいのですが、多額の借金を背負っていて、収入のほとんどが返済に回っていたのであれば、河本氏に親族扶養の能力がないと判断することもありえます。

どのような財政状況であったかわからない限り、親族扶養の能力があるのかどうかの判断を第三者が決めつけることはできません。

焦点3 : 収入申告をしていたかどうかを河本氏自身が知っていたかどうか

もはやこれは「聞いた」「聞いていない」の水掛け論になる可能性が高いですが、河本氏自身が母親からもし「仕送り分は福祉課に申請しているよ」と嘘を付かれていた場合、河本氏自身は何も悪いことはしていない訳です。

どこぞのロケットの中の人は「共同正犯や教唆などの罪に問われる可能性も高い」と言っていましたが、それは単純に表面でしか法律を見ていない証しでしょう。

裁判員裁判制度があそこまで議論になったのは、法律という非常に複雑で難しく、広範囲に渡る内容のものを、司法という名の下に素人が判断に加わって良いのかということです。だからこそ、裁判は弁護側・検察側・裁判官という3つの側から事件の内容を慎重に見極める訳です。

単純に考えを世に出す人は自らに跳ね返ってくる可能性があるので注意を

単純に、『河本氏年収5千万→母親生活保護→河本氏仕送りしている→不正受給→共同正犯や教唆の刑事罰の可能性が高い』という図式にはなりません。一つ一つ順を追って、調査/審査/検証していかなければならないのです。

新聞記者は特に情報元を秘匿するのが常とされていますが、雑誌記者の場合はそんなことはなく、「~の筋によると」と情報元を出したりしますが、それが本当か嘘なのか、どう判断しているのでしょうか。もし虚偽の情報を元に記事を発信した場合、名誉毀損罪で逆に訴えられる可能性だってありえます。

蛇足ですが、情報が溢れている社会だからこそ、モノを本質が何かを見極める力が人々に求められているのだと思います。

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年齢 : 30代半ばの1児の新米パパ。ITネットワークから始まり、WEBディレクター、WEBシステム系のプロマネ、データ分析など色々やってるエンジニアです。WordPress、Webサービス構築、BIツール、IoTなどがトレンド。新しくて面白い仕事募集中。
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