日本年金機構の過去の事件とまとめ

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日本年金機構の今回の年金情報流出事件は、非常に多くの国民の感心を寄せていますね。昨日エントリした記事からの流入が結構あり、国民の皆さんが気になっているということが良く分かります。そりゃそうですよね、将来支払われるのか疑問に抱いている人も多いなぜか国民の義務の年金を預けている特殊法人が、こんなずさんな事故を起こした訳ですからね。

旧社保庁から含め、日本年金機構への国民の怒りは相当なものだと想像できます。それにしてもこの組織、過去の事件の反省を何も活かしていませんね。『喉元過ぎれば熱さを忘れる』。まさにお似合いの言葉でしょうか。今回のことを受けて、過去の事件を振り返り、社会保険庁から日本年金機構になった時に、どんな約束を公言したのか、見ておこうと思います。簡単なまとめと考えて頂ければ。

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旧社会保険庁時代からの事件

最も重大な事件として記憶にあるのが、『年金記録問題』ではないでしょうか。

年金記録問題

2007年(平成19年)5月、社会保険庁のオンライン化した時のコンピュータ入力にミスや不備が多いことや基礎年金番号へ未統合のままの年金番号が多いことが明らかになった。国会やマスコミにおいては、年金記録のずさんな管理が批判された。
また社会保険庁のオンライン化計画に対して労働組合が「中央集権化の支配機構を強め、独占資本のための合理化である」として反対していたことや、実施に伴い労働強化を生じさせないとの覚書[1]を取り交わしていたことが問題視された

引用元 : 社会保険庁 | Wikipedia

2006年6月時点において、コンピュータに年金番号があるが、基礎年金番号に統合・整理されていないものが約5000万件あることが分かり、当時の社会保険庁が年金記録をきちんと管理していないことが判明しました。

納めたはずと主張する国民年金保険料の納付記録が、社会保険庁のデータや自治体の台帳になく、保険料の領収書を残していなかったことで納付証明ができず納付と認められないケースや、給料から天引きされていたはずの厚生年金保険料の納付記録(被保険者記録)が、社会保険庁のデータにないことが判明したケースがありました。いわゆる「消えた年金記録」ですね。 さらに、社会保険事務所が、厚生年金の標準報酬等の記録をさかのぼって訂正した不適正な事務処理「消された年金記録」も判明しました。

この時は名寄せに莫大な人と時間とお金を掛けたと記憶しています。

朝日新聞の記事によると、なんと4,000億円も掛けたらしく、しかもそれだけお金を掛けたにも関わらず途中で幕引きとのこと。4,000億円あれば、どれだけの人や企業が救えたのですかね。無駄使いもここに極まれり。

最後の一人まで払う。そう約束したはずの年金記録問題で、社会保障審議会の特別委員会がまとめた報告書は完全な実態解明の難しさを認めた。

引用元 : 年金、確認お手上げ 作業費用4000億円、なお4割が未解明 | 朝日新聞

公的年金流用問題

公的年金流用問題(こうてきねんきんりゅうようもんだい)とは、公的年金制度によって集められた年金保険料が、年金給付以外の用途に安易に使われていたことである。年金給付以外の用途に使われた額の累計は56年間で6兆7878億円に上ることが判明している。
2004年(平成16年)の年金制度改正時に、一層厳しくなる年金財政の状況を踏まえた改革が進められていく中で、年金保険料を投入して諸事業を進めてきた国や関連団体に対して、国民の厳しい批判の目が注がれた。また、年金給付以外に保険料を安易に使っているのは無駄遣いと国民に厳しく批判された。

引用元 : 公的年金流用問題 | 社会保険庁

主に、『グリーンピア事業』『事務費の無駄遣い・・・というか、私的に近い流用』『カワグチ技研を巡る汚職』がありました。『グリーンピア事業』は、年金福祉還元事業という名の下の箱物(保養施設、福祉施設)を作ってそこに天下りさせて赤字を垂れ流したりしていましたね。事務費の無駄遣いはもうアレです、すごいです。「職員宿舎の整備費用」「社会保険庁長官の交際費」「社会保険庁の公用車購入費」となんとなく良さそうに感じちゃうものから、社会保険事務所のマッサージ機器や職員のミュージカル鑑賞やプロ野球観戦の福利厚生に使ってました。

さぞかし良い生活ができたことでしょうね。国民の財産を使っていた訳ですからね。もうこの事件だけでも、この組織に対する不信感は充分です。

個人情報漏洩

あと、旧社保庁時代に個人情報の漏洩はすでに起こしています。

2004年(平成16年)3月、国民年金保険料未納情報に関する個人情報の漏洩が疑われる事例(政治家の年金未納問題)が、報道されたのをきっかけに、社会保険庁のずさんな業務運営が次々と発覚した。同年7月、約300名の職員が、未納情報等の業務目的外閲覧を行っていたことが判明し、社会保険庁職員の行為者及び管理監督者の合計513名が、懲戒処分された。同年9月には、社会保険庁の幹部職員が収賄罪で逮捕され、国民の信頼を著しく損ねる結果となった。

引用元 : 社会保険庁 | Wikipedia

この当時は、厚生労働省の真野章長官(当時)を訓告と給与返納(10%, 1カ月分)処分にし、幹部らの処分手続きが終わり次第、7月中にも監督責任者を含め職員約500人の処分を行うとしていました。

過去の事件を受けて、新たに発足された日本年金機構

日本年金機構は、諸々の重大事件を引き起こしずさんな運営をしてきた旧社会保険庁を解体して、日本年金機構法に基づいて2010年に新たに設置された特殊法人ですが、まぁ結構な数の職員がそのままスライドして来ています。特殊法人なので、役員及び職員の身分は公務員とはしないですが、役職員は刑法その他の罰則については、「みなし公務員」規定が適用されているとのことです。こういう事件があるから、公務員批判が絶えなくなっちゃうんでしょうね・・・。

そんな日本年金機構さんですが、国民からの信頼を取り戻すために、きちんとした運営方針を立てられています。とても立派です。

組織ガバナンスの確立

1. お客様である国民の信頼を得られる組織の実現を目指し、組織改革・意識改革・業務改革を断行する。
2. 理事長の強いリーダーシップの下、職員一人ひとりが意欲と使命感をもって自ら変わる、自ら機構をつくり上げていくという意識で改革に取り組み、組織改革を断行する。
3. 組織内の対話とコミュニケーションを通じて、目標の共有化を図るとともに、働きやすい職場環境作り、風通しの良い組織作りを進める。
4. リスクの未然防止に重点を置いた厳格な内部統制の仕組みを構築する。
5. 理事長に直結した内部監査部門による効果的な内部監査を通じて、機構自らがPDCAサイクルの中で不断の改善努力を行うとともに、外部監査の活用を図ることにより、内部統制の有効性を検証するための体制を整備する。
6. 職員に対しコンプライアンス意識を徹底するとともに、コンプライアンス・リスク管理担当部門や外部通報窓口の設置などの体制を整備する。
7. システム開発・管理・運用に係る権限と責任の明確化、CIO(システム担当理事)やPJMO(本部のシステム部門)の設置、システム人材の確保・育成などにより、ITガバナンスの構築を含むIT体制を確立する。
8. お客様本位の立場に立った健全な労使関係を確立する。

引用元 : 運営方針 | 日本年金機構

ガバナンス、大事ですよね。ガバナンスとは、組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行なう、意思決定、合意形成のシステムである。まぁ要は、この方針をもとに組織が意識を揃えてちゃんと活動しますよ、っていうことですかね。

さて、ここの4番目に「リスクの未然防止に重点を置いた厳格な内部統制の仕組みを構築する。」とありますが、果たして守られていたのでしょうか?いいえ、内部統制の欠片は感じられませんでしたね。

その後に、内部統制がうまく回っているかの確認をするために外部監査するとありますが、どこが監査していたのでしょうか。コンプライアンス意識の徹底ですか。コンプライアンス意識があると、お漏らし情報を2chに書き込んでしまうのでしょうか。不思議です。

7番目はちょっと足りないですねー。システム人材の育成だけでなく、職員のシステム・情報セキュリティに対する教育も必要でしたね。残念。

基本方針でもこんな内容が

『日本年金機構の当面の業務運営に関する基本的方針』というのがありますが、ここでもガバナンスやコンプライアンス、内部統制や監査と素敵な言葉が並びます。

[組織ガバナンスの確立]
○ 過去の反省に立って、組織ガバナンスの欠如など組織構造・体質と関わる問題を 一掃するための改革を断行すべき。このため、トップの強いリーダーシップと職員 の意識改革が最も重要。

[内部統制、監査体制、コンプライアンス体制]
○ 社会保険庁では、業務のリスクアセスメント調査と業務処理マニュアルの整備に 優先して取り組み、機構設立後は内部統制の担当部門の設置などが必要。
○ 内部統制の徹底や有効性の検証のため内部監査機能の充実が重要。理事長に直結 した内部監査部門を設け、外部専門家の知見も活用して、効果的な内部監査を実施。 システムを含む業務についても外部監査を活用。
○ 厚生労働省が行うとされている検査の客観性・妥当性を高めるため、同省以外の 第三者が機構を検査する仕組みについて、今後、法改正も含めた検討を行うべき。
○ コンプライアンス(法令遵守)体制については、社会保険庁が設置した外部弁護 士による外部通報窓口を機構でも設置。また、コンプライアンス・リスク管理担当 部門を設置し、内部監査部門と連携してガバナンスを確保。

[IT体制の確立]
○ IT体制の確立は機構の最重要課題の一つ。システム開発は、法律上、厚生労働 大臣が最終的な責任を負うが、実際にシステムを使用して業務を行うのは機構。シ ステム開発・管理・運用の一連の実務は、できる限り機構に必要な権限、責任及び 人材を集中。 厚生労働省は必要最小限にして効果的な関与を実施。

引用元 : 日本年金機構の当面の業務運営に関する基本的方針について(最終整理)【概要】

うん、基本的な方針としては模範解答に近い内容だと思います。一部上場企業では当たり前の内容ですが、特殊法人でもこういう風に方針を打ち出してもらえると、安心感を得られますよね。まぁただの飾りだったことが今回の事件から伺える訳ですが。

事故が起きたのは百歩譲ってしょうがない、でもその後の対応が・・・

今回の事故が、ウィルス付きのフリーメールをうっかり開いちゃったのがきっかけな訳で、その引っかかり方が15年前のインターネット初心者並だったため、失望と怒りの声がこれだけ聞こえてくるのかもしれません。(私は15年前の学生時分にこの怖さを知りましたが)

ただ、超高度なハッキング技術を持った集団が不正アクセスして、今回の事件を引き起こした場合はどうでしょう?仕方がないよね・・・とは思えないですが(笑)、機構も被害者だよね。。。みたいな見方があったのかもしれません。ただ、今回一番目に余ったのが、対応のずさんさではないでしょうか。

事故が起きてからの対応は?

厚生労働大臣は5月28日にはこの事態は知っていたらしいですが、月が明けるまでだんまり。理由は、事態を解明してから伝えた方が国民を混乱させないだろう、とのことで。いやいや、情報セキュリティ事故が起きたら、まずは公表でしょう。セキュリティホール云々の話だと、ヘタに公表すると遊び半分でハッキングしてくる輩がいるから、そういう場合は別だけど、情報が漏れたんならまずは一報すべきでしょう。マスコミ使えるんだから別にお金は必要ないんだしさ。

それに、5月8日に感染したことが発覚して、不正アクセスの記録も確認できているのに、厚生労働大臣の耳に入るまでに20日も掛かってるのは何で?会社が傾くほどの重大事故が起きてるのに、社長に20日間も報告してないのと一緒ですよ。こんなの社員が知ってて隠してたら、一発でクビです。おまけに損害賠償請求もされるでしょうね。

お客様の個人情報が漏れちゃったけど、職員には「変なメールは開くなよー」と注意喚起するだけ。まぁ5月18日には、注意喚起したのにメール開封して感染しちゃった職員が居たようですけどね。リテラシーの低さに唖然とします。

結論:反省して改善してるように思えるけど、意識が低い

年金情報がリカバリー不可能なほどのずさんな管理をしちゃったり、年金を流用してずっと黙っていた時のことを考えると、事件が起きて1ヶ月で公表したというのは改善がなされている証だと思います。もちろん、超ポジティブに捉えた場合ですけど(笑)

ただ、元々のレベルが低すぎたのでそう見えるだけで、一般常識の尺度で見た場合には今回の事件の対応もアウトでしょう。

今時だと、社内ユーザに不正なメールをわざと送って、ちゃんと開かないかを確認するために避難訓練ならぬセキュリティ訓練する会社もありますからね。個人情報というハイセキュリティなデータを、パスワードも掛けず暗号化もせずにファイルサーバに置きっぱなしになんて考えられませんし。個人情報を扱うときは、通常の業務LANとは別のセキュリティが施されたLANを使うとか、割と普通ですからね。

ガバナンスとかコンプライアンスとか、響きの良い言葉を並べてちゃんとしてますアピールをされていましたが、一般的なレベルのことができていなかったということが、今回の事件で分かりました。厚生労働省の管理下で起きている訳ですから、これから第三者委員会などを設置して、色々と調査をしてもらいたいものですね。

対応するにもお金を掛けずになんとかならないの?

ただ、そういうのも税金が使われるんですよね・・・。今回情報が漏れた灯とに対してお詫びの手紙を出したらしいですが、125万通も出したら相当な金額になりますよ。誰がそのお金を負担してくれるんですかね。結局は出資金か税金が財源になりそうな気がするのですが、国民としてはきちんと誰かが責任を取ってもらわないと、怒りが収まらない気がします。

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もぐ
年齢 : 30代半ばの1児の新米パパ。ITネットワークから始まり、WEBディレクター、WEBシステム系のプロマネ、データ分析など色々やってるエンジニアです。WordPress、Webサービス構築、BIツール、IoTなどがトレンド。新しくて面白い仕事募集中。
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